インタビュー
サウンドひとつで、ゲーム体験は大きく変わる

2020年新卒入社
# 学生時代の経験
“好き”を仕事にしたい
―学生時代はどんなことに取り組まれていましたか?
実は、もともと一番好きなものは車でした。ただ、それを仕事にするイメージは持てず、「次に好きなものを仕事にしよう」と思った時に、DTMを少し触っていた経緯もあって「音に関する仕事をしてみよう」と考えるようになり、専門学校に進学しました。
専門学校ではサウンド系の学科に所属していました。授業を受けるうちに段々と音楽の仕事のイメージが具体的になってきて、2年生頃から本格的にサウンド制作を始めました。学校の設備を使ってフォーリー収録やミックスを行ったり、車に乗って少し遠くまでロケーション収録をしたりしていました。
# 就職活動の様子
入社の決め手は「環境」と「人」
―就職活動ではどのようにしてゲームの効果音制作という仕事にたどり着いたのでしょうか?
専門学校だったのもあり、学校が様々な情報を拾ってきてくれるのですが、そこでおすすめされたのがバンダイナムコスタジオの効果音制作インターンシップでした。そのインターンシップに参加し、ゲームの効果音作成やMA作業を行うちに、この仕事をやってみたいと思うようになりました。学校でもそういった効果音作成に関する授業やコンテストがあったので参加し、学びを得ていきました。
また、就活の時期に学校では学生作品展示会が開催されるので、そこに向けて制作を進めたりしていました。
―バンダイナムコスタジオに入社を決めた理由は何でしたか?
入社を決めた一番の理由は、インターンシップを通して実感した「環境の良さ」と「人柄の良さ」です。
サウンドスタジオの設備が充実しているという話は聞いていたものの、実際に訪れてみると専用の音楽収録スタジオだけでなく、フォーリースタジオなど効果音制作に特化した環境まで整っており、驚きました。
また、インターンシップ中に接した社員の方々の雰囲気がとても温かく、技術面だけでなく人の面でも働きやすさ感じました。入社後も印象のギャップはほとんどなく、インターンシップやサウンドチームのYouTubeチャンネルから感じた雰囲気のままでした。
# 仕事の中で得た成長とやりがい
自分の作ったサウンドが、ゲーム体験を左右する
―現在の業務内容について教えてください。
ゲームの効果音に関わる業務全般を担当しています。
効果音の制作はもちろん、必要に応じて実装まで行うこともあり、「音がどのようにゲームの中で鳴るか」まで責任を持って関わっています。また、細かいカテゴリーのサウンドの取りまとめ業務も担当しています。
入社以来ずっと効果音を中心に、さまざまなジャンルのゲームで経験を積んできました。ポップな作品、フォトリアル系、格闘ゲームなど、幅広く携わりました。現在は一つのプロジェクトに集中して業務を行っています。
―研修の様子について教えてください。
新人研修での「制作研修」が、私にとって初めて「ゲーム制作の流れの中で音を作る」という経験でした。学生の時は依頼された音をただ作るだけで、制作プロセスに深く関わる事はあまりありませんでした。しかし研修では、「どんな意図で、どのように音を鳴らしたいのか」を自分で考え、ミドルウェアを使ってゲームに実装するまでを一通り学ぶことができました。研修で学んだ基礎は今でもそのまま現場で役立っています。また、技術だけでなく他職種とのコミュニケーションの取り方も学べた、貴重な経験でした。

―仕事で苦労したことや大変だったことは何ですか?
ディレクターや監修の方が思い描くイメージに、音をしっかり近づけていくプロセスが大変だと感じています。プロジェクトによっては作品の方向性に合わせるために何度もリテイクを重ねることがあり、修正を繰り返すうちに「何が正解なのか」「どこを調整すべきなのか」が分からなくなってしまうこともあります。精神的にも根気が必要な部分です。
また、サウンドは非常に抽象的な領域で、「もっと“ドシュッ”とした感じで!」といった擬音の指示ひとつ取っても、人によってイメージが違います。その感覚の差を言葉や参考音源を使ってすり合わせていく作業が難しく、同時にコミュニケーション力が求められると感じています。
ただ、経験を重ねるにつれて、その作品ならではの音の傾向や、発注者の好みが少しずつ掴めてきます。すると自然とリテイクも減り、狙うべき方向性が見えるようになります。そうしたとき、自分の成長を感じますね。
―仕事をしていて印象的だったことや、やりがいは何ですか?
特に印象に残っているのは、自分の「どうしてもこの音が欲しい」というこだわりから、バイクのエンジン音を一からロケーション収録した経験です。既存のライブラリには理想とする音が無く、目指す音が鳴るような場所のリサーチからロケハン、先方との契約、機材の選定・レンタルまで、全て自分が中心となって進めました。
収録当日も他のメンバーと連携しながら、自分が中心となってディレクションを行いました。初めてやった事も多く、自分にとって成長できたと実感できる貴重な経験だったと思います。
そうして関わったゲームが世に出て、トレーラーや製品版の中で自分の作った音が鳴っているのを耳にした瞬間は、非常に達成感を感じられます。更に、「このキャラといえばこの音」「この攻撃はこの効果音じゃないと」というような反応を見かけると、自分の作ったサウンドが作品の魅力や遊んだ時の手応えにしっかり貢献できたのだと実感でき、大きなやりがいを感じます。
# 尊敬する先輩社員と目標
多彩な強みを持つ先輩たち
―目標としている先輩社員はいますか?
社内には、自分にはない強みを持つ先輩が多く、日々「すごい」と感じる場面がたくさんあります。
例えば、圧倒的なスピードで高クオリティの音を量産できる方や、大量のバリエーションを素早く生み出せる方など。サウンド制作は質の高さだけでなく、量やスピードも求められるため、その両立ができる方は本当にすごいと感じています。
また、機材やサウンド技術への知識が豊富で常に最新情報を追いかけている方にも憧れます。音楽・音響機材はアップデートが非常に早く、興味がなければ追い続けるのは難しい分野です。そんな中でも、自ら進んで情報を取りに行き、深く理解している先輩の姿勢は、非常に尊敬できます。
1日のスケジュール
学生の頃から車が趣味です。休日は、自宅のガレージで車の整備などをしています。
私にとっての「Grow BNS」

※ Grow BNSは、バンダイナムコスタジオのバリュー(挑戦・自律・追求・共創)の総称です。
追求 Share to evolve
効果音制作には様々な手法があり、効率や制作コストを考える場面も多くあります。しかし、その前に必ず立ち返るのが「お客様にとって一番良い音は何か」という視点です。
例えば、「こういう音が欲しい」と思った時に、すぐライブラリから探すのではなく、まずはどうすれば理想の音になるのかというのを考えるようにしています。そのうえで、ロケに行くのか、ライブラリを使うのかを判断する、という順番にしないと、どうしても現実的な制作工程を選択するだけになってしまいます。
また、ゲームを実際にプレイするのは自分ではなくお客様です。どんなプレイ環境で、どんなシーンで音を聞くのかを想定しながら、「自分がお客様の立場だったらどう感じるか」を常に確認して制作を進めています。そうしないと、クオリティの高さを追求したところで“作り手の自己満足”で終わってしまうからです。
こうした姿勢で音と向き合うことが、作品全体の手応えに繋がると考えています。