クリエイターインタビュー

クリエイターインタビュー

新卒2年目のゲームAIエンジニアが入社して感じたこととは?

バンダイナムコスタジオのクリエイターたちは、「自分の開発したゲームでみんなを楽しませたい!」という熱意を持って、ゲームを開発しています。その気持ちはどこからくるのでしょうか?この記事では、弊社のクリエイターの好きなモノや出来事を通して、ゲーム開発に繋がる想いを紹介します。今回は、入社2年目のエンジニアである大字 諒さんにお話を伺いました!

新卒入社2年目 エンジニア 大字 諒

技術スタジオ 第1グループ
コアテクノロジー部 先端技術ユニット
ゲームAIセクション
エンジニア
大字 諒

— お時間いただきありがとうございます! まずは現在の所属と業務内容を教えていただけますか?

技術スタジオ 第1グループ コアテクノロジー部 先端技術ユニット ゲームAIセクションに所属しております。

名前の通りですがゲームAIに関わるエンジニアが所属しているチームです。具体的には、ゲームAIの基礎技術の学習や開発中のタイトルの技術サポートをしています。

—大学時代はどんな研究されていたのでしょうか?

学部生の時は、感情がどうやって伝播するかを研究していました。例えば、ライブイベントで機材トラブルがあってネガティブな雰囲気になった時に、その中の誰か1人が「がんばれー!」と叫んで明るい雰囲気を作りだせば、それを見た周りの人もポジティブな雰囲気になりますよね。感情のモデルを使って、その感情が群衆の中でどのように伝播するかシミュレーションする研究をしていました。

大学院の時は、ダンスの動きを解析する研究をしていました。ダンスはそれぞれのパーツの動きの組み合わせでできており、その動きの組み合わせを3DCGで表現する方法を研究しました。ダンスの基本的な動きであるアイソレーションを使って、複雑な動きを表現することを目指しました。研究結果を出力するために、BlenderやUnityのような3DCGソフトを使っていたので、その時の経験はゲーム開発の基礎になっているかもしれません。

—その後、ゲーム会社に入ろうと思ったきっかけは?

シンプルにゲームが好きだったからです。子供の頃からゲームが好きで、小学校時代にはいろいろなゲーム機を持っていました。家には一通りのゲーム機はあったような気がします(笑)。 大学では、進路を狭めず幅広い視野を持って学ぶため、情報工学を選びましたが、プログラミングをする中で「自分のスキルをゲーム開発に役立てられるかも」と気づき、ゲーム会社で働くことを考えました。

—学生時代に頑張っていたこと、現在のお仕事につながる経験はありますか?

1つ目は、大学院時代の研究で、モーションの素の行列データから、アニメーションが出る状態まで出力する経験ができたことです。これによって、ゲーム開発におけるアニメーション制作については少し勉強できたのかなという印象です。

2つ目は、人に説明する力でしょうか。学会やエンジニア間のコミュニケーションでは、自分の研究内容を論理的に話すことが重視されます。実際、学会などの発表の場では、10分間という決められた時間内で、自分の研究内容や使っている技術を説明することが求められます。学生時代に何度も経験したおかげで、技術にあまり詳しくないエンジニア以外の方にも伝わるように説明する能力が身に付きました。

—実際に入社してから印象的なエピソードはありますか?

開発中のタイトルの中で、AI技術を取り入れたNPCの実装を担当したのですが、動いているキャラクターを見たクリエイターの方に「なんか機械的だね」とフィードバックを受けたことです。この時作ったNPCは、ただ真っ直ぐ見て歩くだけで、生き物らしく見えなかったんです。

そこで、NPCがもっと生き物らしく見えるための一案として、NPCにプレイヤーが近づくと、プレイヤーの方へ顔を向けるLook at挙動を追加しました。Look at挙動とは、つまるところ単にゲームオブジェクトの方へ顔を向ける動作なのですが、その動作ひとつでキャラクターが周囲の環境を認識しているような感じが出るようになりました。挙動を追加したNPCを再度見せてみたところ、「かなり良くなりましたね!」とお褒めの言葉をいただけました。

マレーシアスタジオとの合同チームで開発したタイトル『BOOMEROAD』

—新人研修中のお話を伺えないでしょうか?

新人研修では、『BOOMEROAD(ブーメロード)』というタイトルを開発しました。このタイトルは、ブーメランで描いた軌道の上を滑ることができる、爽快なアクションが魅力のアクションアドベンチャーゲームです。天空に浮かぶ古代遺跡を舞台に、疾走感ある移動アクションが楽しめるのが特徴です。Steamから無料でダウンロードできるので、ぜひ遊んでみてください!

開発自体の苦労もありますが、BOOMEROADチームは、バンダイナムコスタジオ マレーシアとの合同チームだったので、研修中の言語コミュニケーションが大変でした。

日本メンバー9名、マレーシアメンバー3名と混在するチームで、マレーシアの方々は日本語が話せないため、研修の初めの方は自分ともう一人の英語を話せるメンバー、加えてマレーシアスタジオの日本語を話せるサポートの方の3人が通訳する形で進めていました。ですが、開発が進むにつれて段々と仲が深まったこともあり、その他の日本メンバーも積極的に英語でのコミュニケーションにチャレンジしてくれるようになりました。その結果、開発中盤以降は自分の通訳はほとんど必要ありませんでした。最終的には、みんなのパッションで乗り切れたなと感じました(笑)。

BOOMEROAD(ブーメロード)

「BOOMEROAD(ブーメロード)」Steamストアページ

—バンダイナムコスタジオに入ってよかった点はありますか?

多種多様なAAAタイトルの開発を経験してきた方々と一緒に働く機会があることですね。バンダイナムコスタジオは、主にAAAタイトルを開発している会社なので、当たり前ですが、数々の有名タイトルに関わったクリエイターが社内にたくさんいます。AAAタイトル開発では高い水準が求められているので、その水準を超えてきた人たちから得られる教訓や知見はとても貴重です。直近では、『鉄拳8』のオンラインロビー部分を作った方々と一緒に仕事をしたことは大きな学びとなりました!

入社を決めたきっかけも、ゲームAIに深く関われる部署がある開発会社は意外と少なくて、先端技術研究ではなく、タイトル開発に活かせるような実践的なゲームAIの部署があったのが理由です。入社後、実際にゲームAIに関わる開発に携わることができて良かったです。

—仕事に取り組むにあたって、譲れない「自分ルール」や「これだけは自信がある」と言えることはありますか?

『学びを止めないこと』です。もちろん、映像表現や演出などは、やっぱりアーティストの方の技量ですが、ゲームは極論を言うと「ソフトウェア」なので、エンジニアが実現できることしか実現できないと思っています。そういう意味では、自分のスキル次第でそのゲームのクオリティが変わるということなので、常に技術や知識をアップデートしていかないと競合他社に勝てないよなと思っています。

例えば、企画職の方から「こういうことをやりたい」と要件が来た時に、自分たちエンジニアが「できません」と言うと、「じゃあ無理だね」で終わってしまいますよね。でも、そこをどうにかして実現していくのがエンジニアの力だと思っています。そのためには、解決手段を検討する材料となる知識を蓄えるために、学びを止めないことが大切だと考えています。

—最後に、今後の抱負と、座右の銘を教えてください!

現在、タイトルサポートという形でゲームAIの開発に携わっていますが、将来的には、汎用的なゲームAIエンジンの一機能を実装し、それがバンダイナムコスタジオ全体で使われるようになることを目指しています。ゲームAIの技術を汎用化し、全社で共有することで、効率的な開発、ひいては今までにはない新しい体験の創出を実現したいですね。

座右の銘は「Just do it」です。やらなければいけないことを考えるよりも、まず行動することが大事だと思っています。タスクに悩む時間を減らし、実行することで成長を続けていきたいと考えています。

—ありがとうございました!

前回の記事「技術の頂点を極めろ! テクニカルディレクターが語る『鉄拳8』の進化とは?」はこちら

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