第5回:ゲームが大好きだからこそ「ゲームって楽しい!」というのを全世界へ届けたい【BNSクリエイターを深掘り!】

バンダイナムコスタジオのクリエイターたちは、「自分の開発したゲームでみんなを楽しませたい!」という熱意を持って、ゲームを開発しています。その気持ちはどこからくるのでしょうか?

この記事では、弊社のクリエイターの好きなモノや出来事を通して、ゲーム開発に繋がる想いを紹介します。

※以降の文中では、バンダイナムコスタジオをBNSと省略表記を用います。

第5回目は、ゲームデザイナーの小川みのりさんにお話を伺いました。「ゲームって楽しい!」というのを全世界のユーザーへ届けたいと話す小川さん。だからこそ、苦手なことも積極的に克服するように頑張っているそうです。

――― 現在の所属や業務内容について簡単に教えてください。

第1スタジオ第13プロダクションという部署でゲームデザイナーをしております。現在は、新作ゲームの開発に向けて、インゲームの仕様を考えています。

※インゲームとは……そのゲームでメインとなる箇所。格闘ゲームで言うと、バトル部分がインゲーム、メニュー画面などそれ以外の部分がアウトゲームと分類されることが多い。プロジェクトによってインゲームと捉える範囲が異なる場合もある。

2019年度に新卒で入社して、現在は3年目になります。最初は『テイルズ オブ』シリーズを制作するチームに所属しておりました。そのあとに現在の開発プロジェクトへ異動してきました。最初はプロジェクトメンバーが少ない状態だったので、アクションの仕様作成やUIの検討など、ゲームデザイナーとして幅広い経験をさせてもらっています。

――― 現在の仕事で、大変だったことや頑張ったことなど、印象深いエピソードはありますか?

そうですね。ある仕様が通らなくて、その仕様を2か月くらいずっと考えていた時は辛かったです(笑)

最初「こんな仕様はどうですか?」というのを提案したら、「こういうのはしたくない」「もっとこういう風にしてほしい」みたいなやり取りが何回か発生して、どんどん注文が増えていきました……。注文は制約となり、でもその中で面白いものを作らなければいけないというプレッシャーから、アイディアを出すもの苦しいし、出したところで通らないという負のスパイラルに陥ってしまいました。それでも何度も何度もめげずに提案し続けたことで、結果的にはOKを頂けたので、なんとか辛い時期を抜けだすことができました。このように制約条件がある中で仕様を書かなきゃいけないという状況は割とよくあるので、そういう意味ではいつも苦しいですね(笑)

ゲーム開発は自社だけにとどまらず、複数の企業と進めることが多くあります。外部の会社とやり取りが発生する場合、相手方からOKをいただかないと開発を進められないことも多いのですが、その方が面白いと思っているゲームと、私が面白いと思っているゲームの方向性にズレが生じてしまうことがあります。社内と比較してやり取りできる回数も限られているので、意思疎通をうまく図るのが難しいなと感じますね。

――― 思っていることを伝えることって難しいですよね。

そうですね。一番大切なことって伝えることなのではと感じています。やっぱり企画というと、仕様書を書いてチームメンバーに作ってもらう、というイメージが強いのですが、書いたものがどれだけ面白いものなのか、どれくらい必要なものなのか、ということをきちんと説明できるかがゲームデザイナーに求められている能力なのだと日々実感しています。

元々は伝えることが得意ではなかったんです。美大出身なので企画をしたり表現をしたりすることに対しては自信がありましたが、物事を順序だてて説明することが全然できないタイプだと自覚をしていました。人に伝える能力がない中で自分のやりたいことや考えを周りの人に理解してもらうことは難しいなと、入社後すぐに感じました。

論理的に伝えるために、プレゼンでの説明方法をちょっと変えてみることを心がけています。例えば、文字だけが並んでいる資料では聴いている側がつまらないので、資料内の解説画像を手描きイラストにしてみたりしました。絵を描くのは得意なので、絵を見て「これをやったら楽しそう!」と思えるように、また言葉では伝わりにくいニュアンスも、絵を見て一発で理解してもらえるように、私の強みを活かして工夫するようにしています。そのおかげか、伝えることが苦手であがり症だったのが治りましたね。プレゼンすることが好きになりました。

ほかにマインドの部分で大切だと思っていることは、ゲームプレイヤーになりきることでしょうか。プレイヤーになった気持ちで、ゲームプレイ時にこちらの意図通り感じるか、遊びやすいか、などいつも考えるようにしていますね。ゲームのコアな部分だけでなく、重要ではない部分(例えばちょっとしたアイコンに対して「これは光らないと分かりにくいな」といったような部分)にも目を向け、考えるようにしています。作り手側の事情ではなくて、プレイヤー目線で進められているかということが大切ですね。

元々ゲームが好きでゲーム業界へ入ったけれど、仕事で作る立場になってゲームが好きじゃなくなる方もいると思います。職業病ではないですが、実際に私もゲーム会社で働き始めたことで、仕事外でゲームを遊ぶ時の目線が「このゲームってこういう作りになっているんだな」みたいな視点になってしまったので、それがちょっと悲しいところではあります。

それでもこの業界の方は皆さんゲームが大好きだと思うので、チームメンバー共々その「面白い!」「大好き!」という気持ちを忘れないでゲームを作り続けたいですね。「このゲームは面白いんだ!この面白さ伝われ!」という気持ちを仕様書に込めて、全世界のユーザーへ届けたいなと思っています。

――― 仕事を進める上で譲れない「自分ルール」はありますか?

ルールというほどではないですが、「プレイヤーに残るものを作る」ことを目標にいつも仕様を書いています。ただ「楽しかったなー」だけではなくて、「あのイベント最高だったな」「あのキャラクターのセリフ良かったな」「あの敵と戦う時すごく良かったな」とプレイヤーの思い出に残るような瞬間をゲーム内で生み出せるようにしています。

更に言うと、ゲームをやっている間だけではなくて、ゲームが終わった後も楽しんでもらえるようなゲームを作ることが私のルールですね。友達とゲーム内容について話したくなるような、はたまたゲームプレイ後に布団に入って「明日はあれをやろう!」と楽しみな気持ちで寝てくれたらいいなって思っています(笑) 明日がいつもよりちょっとでも楽しくなるような気持ちになってくれれば嬉しいですね。

――― 「これだけは自信がある」と言えることはありますか?

難しい質問ですね……強いて言うなら発想力でしょうか。他の人からは出ないアイディアを提案することが多いです。ただしこれは「奇抜なアイディア」なので短所でもあります。面白いね、となることもあれば、現実味がないね、分かりにくいね、と言われることも多いので、諸刃の剣ですね。なので、いつも出来るだけ多くアイディアを出すようにしています。無難な案を並べつつ、通ったら面白そうな尖った案も罠のように混ぜるというやり方をしています。予想以上に尖った案が受け入れられる時もあるので、そういう時は嬉しいですね。

――― アイディアに自信がある!素敵です!

いや、自信はあまりないです(笑) 自信がないからこそ、アイディアをいっぱい出して、そこから選んでもらうやり方がありがたいですね。逆に、ベストのアイディアを1つ選んで持ってこいと言われたらすごく悩んでしまいますね。仕様を考えるときはまず「普通のゲームってこうだよね」という王道を書いて、それとは正反対のものを書いて、そこからダークホースなアイディアを書いて、みたいに幅広く書いて、必ずどこかヒットするようにしています。

となると長所はたくさんアイディアを出せること……かもしれません(笑)

――― アイディアの出し方はどうやって身についたものですか?

実は入社するまでゲームを作ったことがありませんでした。新卒の研修で、同期のメンバーとゲームを一緒に作っていく中で、同期はゲーム系の専門学校を卒業していたり、大学時代にゲームを開発していた人がいっぱいいたので、私のゲーム制作の知識は、みんなの足元にも及びませんでした。そういう時に、自分にできることはなんだろうというのを考えて、じゃあ他人には考えられないことを身につけようという発想になったのが大きいです。

そんな同期に囲まれて、最初はコンプレックスしかありませんでした。ゲームを作ったことがない、仕様書とはなんぞや、というところから始まったので、みんなを見て学びながら、私が役に立てることを探したという感じです。

――― 今後チャレンジしてみたいこと、抱負などはありますか?

いろんなゲームを作ってみたいです!RPGやアクション、格闘ゲーム、シミュレーションなど、ジャンルを超えて様々なゲームに触れたいです。新しいものにも触れ続けていたいですし、様々な知識を学んで多角的な視点からゲームを作っていきたいです。

アーケードゲームやVRゲームのようなコントローラーではないゲームにも携わってみたいなと思います。このゲーム機ならではの新しい体験を生み出すことができそうで、是非挑戦してみたいと思っています。とにかくいろんなゲームが作りたいです!

最終的にはシナリオを担当してみたいとも思っています。様々なゲーム開発を通してスキルを高めていき、最終的に世界観やシナリオでプレイヤーを感動させるようなゲームを作りたいですね。

――― 最後に、座右の銘はありますか?

座右の銘…なのかは分かりませんが、「とりあえず何でもやってみる」ことを心掛けています。自分の興味のなさそうなことでも、自分に出来るかどうか自信がないことでも、とりあえず「やります!」と言うようにしています。

SPAJAMの時も、「こういうイベントがあるんだけど、やる?」と聞かれて、「超大変そう!」と思ったのですが、「やります!参加したいです!」と言いました(笑)

SPAJAM……スマートフォン アプリ開発のハッカソン。BNSは2020年からプラチナスポンサーとなっており、若手社員中心でチームを組成しハッカソンに参加している。小川さんは2021年にチームリーダーとしてハッカソンに挑戦した。


SPAJAM出場時に使用した発表資料の一部

ハッカソン自体は大変だったのですが、終わった後にやっぱり楽しかったと思えたので、手を挙げて参加することができて良かったです!

挑戦したものが辛かったり失敗してしまうようなことであったとしても、終わった後にほんの少しでも「楽しかった」という気持ちになるのであれば、なんでも経験したいと思っています。

――― 小川さん、ありがとうございました!

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