インタビュー

『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』ができるまで

開発エピソード第7弾では、スマートフォンアプリの「NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE」について、バンダイナムコスタジオ側での開発エピソードをご紹介します。
今回のインタビュアーも、30年以上も前から受付をし、現在もバンダイナムコスタジオの受付にて活躍をしている、受付ロボット「受付小町」が担当します。


『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』の開発を担当するプロジェクトメンバー紹介

◇バンダイナムコエンターテインメント

白崎 正洋 『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』プロデューサー

◇バンダイナムコスタジオ

相澤 進也 ゲームデザイナー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』プランナー
門脇 俊輔 ゲームデザイナー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』メインプランナー
佐藤 誠一 プログラマー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』メインサーバエンジニア
山本 勝恵 デザイナー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』アートディレクター
石井 基 デザイナー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』UIデザイナー
岡﨑 悠希 プログラマー/『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』クライアントエンジニア

■受付小町

小町: 本日は『NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE』(以下、『忍ボル』)についてお伺いします。バンダイナムコエンターテインメントが配信している『忍ボル』は、バンダイナムコスタジオが開発をしているタイトルですね。
まず初めに、『忍ボル』とはどのようなゲームか、バンダイナムコエンターテインメントの白崎さんに簡単に聞いてみましょう。

白崎: ジャンルは「砦アクション忍者バトル」となります。
自分の砦を作って防衛しつつ、他のプレイヤーの砦に攻め込んで両(ゲーム内資産)やチャクラを奪い合って、どんどん自分の所持カード=忍録札、所持キャラクター=忍を強化していこう!というゲームになっています。多彩な忍術・奥義とスピード感あふれるアクションバトルで様々な罠が仕掛けられた砦を攻略します。ネットワークでマッチングされた4人で協力し、巨大ボスに挑むレイドバトル=急襲任務も楽しめます。

ワールドワイドに同時展開しておりまして、日本語と繁体字とハングルと英語の4言語に対応、北米、欧州、アジア圏、50か国以上で配信が行われております。国内でまず展開を始めてから海外へ、という流れはこれまでもあったかと思うのですが、『忍ボル』では国内海外同時進行にて開発を進めてまいりました。

©Bandai Namco Entertainment Inc.

山本: 本格的な多人数3Dアクションバトルですが、「世界中の、たくさんの人に遊んでほしい!」という思いで、最新機種を持っていない方にも遊んでいただけるように、細部調整を行わせていただきました。
おかげさまで、世界中の多くのお客様に楽しんでいただいております。

小町: 本当にたくさんの方に遊んでいただけていますね。『忍ボル』は「アクション」の部分が非常に作り込まれていますよね。

相澤:そうですね、この手のゲームには珍しく、アクション要素がメインに入っています。

門脇: 爽快感が出るように、気を付けて作っていますので、動きが速くてNARUTOらしさが感じられるゲーム内容になっていると思います。

小町: スピーディーな忍術アクションを楽しむ部分にすっかり夢中になって遊んでしまいました。それ以外のやり込み要素もたっぷり用意されていますね。忍の装備や忍術、砦を強化してみたり。

●相澤 進也
ゲームデザイナー/『忍ボル』プランナー

相澤: そうですね。装備や忍術を強化するとバトルをより楽しめます。他のプレイヤーの「砦」を攻略するために忍の強化方法を考えたり、自分の砦にどうやって罠を仕掛けて襲撃してきた他のプレイヤーを撃退しようか?と考えを巡らせるのも楽しいです。そのために「里」を発展させていきたくなるはずです。自分の砦を作って防衛しつつ、他のプレイヤーの砦に攻め込んで両やチャクラを奪い、さらに自分の忍や砦を強化していく「ストラテジー」要素の強いゲームなのです。また、原作のストーリーに沿った「追想任務」や、イベント的な立ち位置で実施されている「特別任務」をプレイしていくことで、忍自身を覚醒(能力強化)できるようにもなっています。

スマホで本格多人数アクションゲーム!

相澤: アクションゲームというところの「触り心地」については、全員でプレイしてワイワイと意見をぶつけ合いながら作り上げていったという思い出はありますね。やはり携帯端末では処理能力には限界があるので、そこのギリギリを攻めていってどこまで気持ち良さが出せるか?をつめていきました。 

石井: 家庭用ゲームのコントローラでは押した感触があるので、そこでプレイしている人へのフィードバックがあるのですけど、スマートフォンのようなタッチパネルの携帯端末では全くありません。さらに様々なサイズや種類の端末があるので、インターフェイスの配置で操作感もそれぞれで変わってきてしまうのです。全機種共通の体験にするというのは難しいのですけれども、違和感無く遊んでいただくには、どこにボタンを配置したら良いのだろうか、どこ触ったときどう動くと良いのだろうかなど、実機で確かめながら検討しました。

岡﨑: 派手なアクションを繰り広げる、描画周りのあのクオリティを携帯端末で出すという部分は、ビジュアル担当のほうで相当、工夫されたのではないかと。

山本: 家庭用のゲーム制作では当たり前にやれていることが殆どできないですから、その中で描画のクオリティを高めていくには出来るだけ無駄なく作る必要がありました。エンジニアさんとは処理範囲や描画順序などデータ処理のプロセスを細かく聞いて、何度も検証しながら進めましたね。。

岡﨑: 1キャラで何ポリゴン使えるかというのも検証しましたね。

●山本 勝恵
デザイナー/『忍ボル』 アートディレクター

山本: そうですね。『忍ボル』はプレイヤーキャラ以外にもたくさんの敵キャラが登場するので、一度に表示されるキャラ数も多く、モバイル向けの他のタイトルと比べても1キャラのポリゴン数は半分ぐらいだと思います。逆に背景は1度に読み込む量がかなり広域なので、他のタイトルと比べるとポリゴン数は5倍くらいあるんじゃないかと思います。そのため、そのままでは処理落ちしてしまうので、どうやって軽減するかだいぶ考えましたね。
結局、最初はマップ単位で仕様を決めていたのですが、マップ全部処理されてしまうと重くなってしまうので、表示エリア毎にマップの区画を分けて仕様を切り直しました。

小町: 『忍ボル』では砦に仕掛けられた罠とか、罠から生じるギミックのエフェクトがとても賑やかだったり、ネットワークで4人のプレイヤーがマッチングされて4人が同じマップ上で、画面上でそれぞれが勝手に好きなタイミングで派手な大技を出しますよね。相当いろいろな状況というのを想定しなければいけなかったのではないでしょうか?

山本: 最初に処理できる限度をエンジニアさんと確認し、それを全アセット※でどういう風に割り振るか決めていきました。例えばキャラクター、背景、エフェクトの中で適切なデータ量を割り出して、そこに合わせるように各アセットを作っていく、という感じですね。エフェクトなんかはほんとにアクションゲームの手触りの爽快感に繋がる部分ですし、忍術が推しでありキャラクターの個性になっているゲームなのでそこはしっかり魅せたいのですけど、やはりアニメや家庭用タイトルのようには出来ないので、限られたデータ量の中でいかに魅力的に見せるか?という部分は結構こだわって作っています。

※: アセット
キャラクター/背景/エフェクトなどのモデルデータや、モーションデータ、音声データなどゲームを構成する上で必要となる各種素材。

山本: 当初エフェクトに割り当てるデータ量を抑え目にして作っていたら、「やっぱりもうちょっと派手じゃないと!」という要望があって、1回全部作り直したことがありました。もっと派手にということでエフェクトにもう少しデータを割くように、割り振りを変えて作り直しました。

小町: それでもやっぱり目標はお客様にとって一番快適なところを目指しているのですね。

山本: そうですね。エンジニアさんが負荷軽減にすごく頑張ってくれたので、処理落ちすることも無く快適に遊んでいただけているかなとは思います。

小町: エンジニアさんとしてはどのような工夫をされましたか?

●岡﨑 悠希
プログラマー/『忍ボル』クライアントエンジニア

岡﨑: エフェクトのキャッシュが都度出ると重いので、出来るだけ作れるものはあらかじめメモリ内にキャッシュしておいて事前に作ったりしています。モデル、エフェクト諸々。 ポリゴン周りに割くためにはプログラムの処理自体を軽くするしかないので、経路探索のプログラムを最適化してもらったりだとか、描画に割く分どっちか減らすみたいな工夫はしていました。

世界を1つに繋ぐ遊びをつくる!

小町: 4人がマッチングされて共闘して遊べるようになっていますよね。モードを選択すると、すぐにパパパッと仲間が見つかりますけど、どのような工夫をされたのでしょうか?

●佐藤 誠一
プログラマー/『忍ボル』メインサーバエンジニア

佐藤: 『忍ボル』のサーバーは、世界に一つしかありません。OSや言語の違いで、全部で4つアプリがあるのですが、全て同じサーバーにつながっており、日本の人とブラジルの人が一緒にプレイするということが実現出来ています。全時間帯、地球全部の人がいるので、いつやっても誰かが集まる、というマッチングの工夫がされています。

岡﨑: 1つにするからこそ、大変な工夫がありますよね。分散しないとパンパンになってしまうとか。

佐藤: ボトルネックになりそうなところは全部負荷検証して、改修していきました。

相澤: 日本とブラジルでつながった場合のタイムラグはどうやって吸収しているのですか?

佐藤: 描画でなるべく最初にキャッシュしてという話しがありましたが、それと同じようにバトルに入る前のタイミングや、マッチングする前などに必要な情報はその時々に送らせておいて、マッチングの時の処理はなるべく軽くなるようにしていたりしますね。

小町: マッチングされた仲間の名前やチャット上のテキストを見ますと、いったい何語でしゃべっているのかしら?という言葉が沢山出てきて、ホントにすごくいろんな国の方が同時に遊んでいる!と実感できます。

門脇: 海外のほうが国数も多いので、遊ばれている方も多くて。香港ではアグレッシブに遊ばれている方が多い印象ですね。

©Bandai Namco Entertainment Inc.

小町: 香港は日本と時差が少ないですけど、ブラジルは約12時間の時差がありますね。時差が多いと、イベントが打ちにくいとかあったのではないでしょうか?

相澤: そうですね、時差がある以上どこを基準にするというのは決められないので、基本は日本基準で行なっていますね。例えばブラジルではイベントが朝の6時に始まったりします。

小町: イベントの告知やルール説明も、最低4言語分用意しなければいけませんよね。準備自体の苦労とかありましたか?

石井:イベント告知用のバナーだけでも、本当にものすごい物量があって!アップデートの時は結局その日のために200枚以上バナーを作った時がありました。4言語を合わせてですけど、もう大変です…。

小町: アルファベットと繁体字って、同じ内容を表現するときでも使用する文字数が全く違いますよね。しかも告知バナーで「強調表現したい言葉」も「どの単語から単語まで強調すればいいの?」とかわからなかったりするのではないですか?

●石井 基
デザイナー/『忍ボル』UIデザイナー

石井: 微妙にその国の人が感じる「キモチのいい並び」「キモチのいい改行」というのがあるので、各言語の分かる方からフィードバックをもらいながら何とか作っています。 クオリティチェックに関しては課題かなと思っている点で、日本以外の文化圏の人がどういう感じ方をするのだろう?という情報がちょっとやっぱり不足しているし、どうしても日本って島国なのでそこら辺の感覚が弱いところと感じています。例えば…「色」って、そこから受けるイメージみたいなのがあるじゃないですか。「赤は攻撃」「緑は回復」みたいな。

相澤: ああ、「きつね」と「たぬき」みたいな。ありますね。

山本: それは違いますよ(笑)

石井: そういうのが文化圏ごとにいろいろあって、欧米では”緑色”に対して「自然」とか「癒し」以外に「毒」や「不気味」というイメージも抱かれるそうなんですよ。日本人的には「毒」と聞くと”紫色”あたりがしっくりきそうですけど。
そういった違いに対して、送り手側の狙いや意図をどうやってその通りに伝えていったら良いのか?上手く対応できるようにしたいなと思っている点ですね。

小町: ゲーム自体への「慣れ親しみ」みたいな点でも、国や地域ごとの好みであったり、ゲーム文化的な違いに遭遇したりしましたか?

相澤: 日本と海外ではゲームの楽しみ方が180度違う部分はありますね。登場するキャラクター人気の違いなどもそうですけど、この遊び部分は日本では喜んでプレイされているけれど、海外ではまったくだったり、ということがあったり。

●門脇 俊輔
ゲームデザイナー/『忍ボル』メインプランナー

門脇: 海外の方はカードを強化していくというシステムには馴染みが無かったりするのです…。日本ではすごく一般的なシステムなので、すんなり入っていってもらえるのですが。運営段階に入ってある程度プレイヤーの行動を見て分かってきたので、これからそういったところをどうやって馴染んでいってもらうかを考えていくフェイズになってきています。

『忍ボル』は進化を続ける!

小町: このあとも続く『忍ボル』ですが、今後どんなことにチャレンジしていきたいでしょうか。

相澤: 運営型のタイトルには完成はないので、『忍ボル』ではまだまだ新しい要素は入れていきたいと思っています。アクションゲームという性質上、腰を据えてやらないと出来ないので、軽くプレイして楽しめる要素なんかもあると良いのかなと思っています。

門脇: 少し敷居が高いと感じる部分があるので、もう少し手軽に遊べることも必要ですね。例えば、「襲撃任務」は基本的に難易度が高くなっているので、攻め込みやすくしたり…もっと遊んでもらえるようにしていきたいです。

岡崎: 今の砦に慣れてしまった、という方でも驚いてもらえるような砦設備を作ったり、そのキャラのこの奥義が欲しいな!と思ってもらえるような原作再現性や面白さだったりするものを新たに作っていきたいです。

石井: UIの改修ですね。UIって変えてしまうとそのタイミングで今まで慣れていた操作とかが変わってしまうのでどうしても使いにくさが出てきたりしがちですが、そこを上手く「変えることによって、使いやすく」。そう思ってもらえるような改修をしていきたいと思っています。

山本: キャラが魅力的なIPですから、キャラクターの個性をしっかり出せていけたらなと思います。
もっと色々な表現や演出を入れて、キャラクターを見てもらえる機会を増やしたいなと。データ量とか色々と厳しい課題もあるので、なかなか簡単には出来ないのですけど、キャラクターや『忍ボル』の世界をもっと楽しんでもらえるように頑張りたいですね。

佐藤: ユーザーになるべく通信を意識させないような、スイスイ次の画面に行けるとか。もちろん読み込みがどうしても掛かるところはあるのですけど、そこはなるべく少なくなるようにしたいですね。通信回数も少なく通信量も少ないのがベストだと思うので、そこは常に改善していきたいと思います。

相澤: ソーシャルゲームは絶えず進化していくものです。進化をしていく『忍ボル』に引き続きご期待ください!

小町: そうですよね、進化をしていくものですから、その変化を楽しんでいきたいですよね!
私も、進化や変化をし続けていく『忍ボル』に今後も期待しています。
本日はありがとうございました。


NARUTO X BORUTO 忍者BORUTAGE

テレビアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」と「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のキャラクター達が「NARUTO X BORUTO」となって遂に登場!!

自分だけの“砦”を創り、ライバルの“砦”を攻める!
アクションとストラテジー(戦略)が表裏一体となった新しい忍者バトルを体験しよう!

あいつの完全要塞を縦横無尽に打ち破れ!
“忍者”と“砦”の創造型アクションバトルが遂に開幕!

オフィシャルサイト
https://borutage.bn-ent.net/
配信元:バンダイナムコエンターテインメント
©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ ©Bandai Namco Entertainment Inc.

ページトップへ戻る ページトップへ戻る